引き裂くということ

獣にも家族がいます。鹿は大体4月〜6月にかけて出産をして子育てを始めます。産まれたばかりの子鹿は母鹿から母乳を与えられ育っていきます。なので基本的には暫くは母子は行動を共にしているので、どちらかが罠にかかる時も一緒にいます。稀に近くに罠を複数仕掛けているとどちらも掛かることがあったりもしますが大体は1匹掛かれば他は逃げて行きます。
しかしこの時は掛かってしまった母鹿の側に離れない子鹿がいました。
近くで見守る子鹿(耳の形が一緒)
この母鹿を仕留めるという事はこれから母乳を貰えなくなる、甘える事もまだ生きる術も教えてもらっていないのに孤独になるといういきなり絶望へ落とされる現実。
その意味を考えると、とてつもなく恐ろしく残酷で非道極まりない殺戮をする。という狩猟行為。
この罠に掛かっている鹿はこのまま放置すると直ぐに亡くなります。罠に括られている足からは出血し、蠅が集り始めています。罠を仕掛けた張本人のするべき行動は、速やかに気絶させ動脈を切断し苦める事なく絶命させる。この一択のみ。
ただ、子鹿の前ではとても出来ない。大声をあげて脅かし追い払い、戻ってくる前に処理して下山します。
何度経験しても納得する事は無いでしょう。
謝罪し感謝する。殺して謝る。意味がわからない。必要なのかどうなのか。それでも明日も山に入ります。